目次
序章 日本農業を取り巻く環境変化を読み解く
第Ⅰ部 食と農を変える八つのメガトレンド
第1章 農業を取り巻くマクロエコノミクスの変化
第2章 農業の未来を変える技術革新
第3章 政策・規制の変化が農業に及ぼす影響
第4章 食習慣・食生活の変化
第5章 農業ビジネスをリードする上流プレイヤー
第6章 世界に訪れる消費者ニーズの変化
第7章 代替品・代替手法の登場
第8章 新規参入プレイヤーの台頭
第Ⅱ部 日本の食と農の未来
第9章 日本農業に期待される新たな挑戦
第10章 日本農業のポテンシャルを最大に発揮するために
気付き
(1)農業分野の温室効果ガスの排出を低減する方法
農業において排出量を提言する方法は、①生産側で温室効果ガスの排出を抑制する(稲作における改善、肥料および灌漑の効率化、畜産・水産業における改善、農業機械の燃費向上)、②需要側の変化(生産側におけるフードロスの低減、飲食店等におけるフードロスの低減、牛肉から豚鶏および代替品へのシフト)、③農地の用途変更(植林、森林再生、自然における二酸化炭素吸収減の活用)、④新技術の開発といったものがある。
(2)温暖化が食料の輸出入のバランスを変える
温暖化が進行することにより現在の輸出国は勝ち組と負け組に分かれる。ロシアやウクライナ、アルゼンチンなどは温暖化により大幅に輸出量を増やすことが予想される勝ち組であり、一方アメリカやブラジルは負け組である。カナダやイタリアは輸入国から輸出国への転換が予想される。温暖化により南半球は暖かくなりすぎ土地の生産性が低下する。逆に寒冷な国では氷が溶けて農業用地が増えていくことと、ロシアでは北方の北極圏の氷も溶けて港ができることで、大輸出帯になることが予想されている。日本としては、長期的にアメリカ、ブラジルだけでなくカナダ、ロシア、ウクライナなどからも輸入ができるように準備を整えておくことが必要である。
(3)牛は最も資源が多くかかり、温室効果ガスの発生も多い
牛の1000キロカロリー消費あたりに必要な資源は、土地は147㎡、灌漑水は1.6㎥、温室効果ガスは10㎏、活性窒素は176g、飼料は37キロカロリーであり、豚や鶏と比べると、全ての指標において何倍も多く、環境負荷が大きい。近年は健康意識のみならず環境意識、サステイナビリティの意識の高まりからも、鶏肉をより消費する傾向が現れている。さらには、大豆などの植物を原料にした代替タンパクや、藻類、昆虫食、微生物や培養技術を用いた合成物質などが開発されている。
感想
自分が農業に関連する業界に属していることもあり、最新のトレンドを知ろうと思い読みました。日本を念頭に置いて書いてある点も助かります。図表が非常に多く、情報量が圧倒的です。農業界も環境に対する配慮、温暖化対策が求められる時代になっているということに驚きます。メガトレンドはPEST分析の観点でまとめ直すとさらにスッキリするかと思いました。