目次
序章 地球温暖化を防ぐ英知 ー人類が初めて直面した”進歩”に対するブレーキ
1章 「エントロピーの法則」とは何か ー現代世界の混迷は、この法則の無視から開始された
2章 人間は、何を信じて生きてきたか ーギリシャから現代まで、西洋思想の歴史的考察と問題点
3章 テクノロジーの実体を明かす ー技術革新により、人類は何を得、何を失ったか
4章 エントロピーの経済学 ー先進工業国社会の矛盾を排除するための指標
5章 新たなる世界観の確立 ーいま地球は、人類にどんな未来を要請しているのか
気付き
(1)地球温暖化による動植物への影響
炭酸ガスの濃度が上がると、食閥の葉に含まれる炭素が増え窒素が減る。すると、昆虫は自らの窒素要求量を満たすためにより多くの植物を食い荒らすことになる。温室効果によって食欲を増した害虫と強力な病気がはびこり、農家では農薬をますますたくさん買わざるをえなくなる。
(2)生命とエントロピー
生物の構成のなかに見られる部分的で小さなエントロピーの減少は、宇宙におけるはるかに大きなエントロピーの増加と結びついている。あらゆる生物はmその周囲の環境から絶えず自由なエネルギーすなわち負のエントロピーを摂取することによって生きている。つまり、周囲の秩序を破壊し、それを自己の肉体に吸収しつづけなければ生きていけない存在なのである。
(3)エネルギーの消費が早まれば失業率も増加する
システムがどんな仕事や収入を与えてくれるかによって、個人や集団のエネルギーの変換および交換プロセスをめるぐ位置が決まり、それによって新たな階級が発生する。しかも、環境のエントロピーが増大し、エネルギー費用が高まった場合、真っ先に経済危機に直面するのは大衆であり、彼らは逼迫する経済状況を自らの力では補いきれなくなる。失業とは要するにエントロピー過程の別な側面なのである。
感想
エントロピーの法則という物理学(熱力学)の法則について、科学・社会・哲学などと絡めて述べる読み応えのある本でした。エントロピーが理解できれば世界の見え方はがらっと変わると思います。